メンバー

吉村 昭彦
東京理科大学生命医科学研究所 分子病態学部門

班員プロフィール

吉村 昭彦(東京理科大学生命医科学研究所 分子病態学部門)
吉村 昭彦

1981年京都大学理学部卒業。
鹿児島大学助教授を経て、1995年より久留米大学生命科学研究所教授。
2001年九州大学生体防御医学研究所教授、2008年より慶應義塾大学医学部教授。
2024年より学校法人東京理科大学 生命科学研究所教授。
免疫制御の分子および細胞メカニズムを研究し、サイトカインシグナル伝達経路の阻害因子CIS/SOCSファミリーを発見。
さらにT細胞疲弊に必要なNR4aファミリーを発見し、NR4aを中心にT細胞老化の解除による老化予防、若返りを目指す。
2020年上原賞、2021年紫綬褒章。

研究内容

免疫系は老化によりSASP因子を放出することで慢性炎症に関与する一方で、CD8陽性キラーT細胞の老化は機能不全により老化細胞除去の効率が著しく低下する。
当グループでは、『老化したT細胞を若返らせることができれば個体も若返る』という仮説のもと、免疫老化を抑制し、ひいては個体の老化も抑制する方法の開発を進めている。
我々は老齢者ヒト末梢血より単離したT細胞はIL-7, CXCL1, IGF-1, Notch-Lからなる4つの因子で培養することで若いメモリーT幹細胞(Tscm)様の細胞に転換できることを示した(Cancer Res. Commun. 2021; 1: 41-55)。さらにT細胞において疲弊及び老化形質に重要な因子として核内受容体NR4aを発見した(Nature 2019; 567: 530-534)。
担癌モデルマウスにおいてT細胞特異的にNR4aを欠損させると、疲弊したキラーT細胞が減少し、若いメモリーT細胞が増加することを見出した。
現在NR4aの阻害は体内でT細胞を若返らせ、慢性炎症を低下させると同時に老化細胞除去を促進し老化を抑制できないか検証している。
さらにNR4a阻害剤を探索し、本ムーンショットプロジェクトの臨床応用への夢を実現したい。

研究内容